足場解体の流れと注意点|工期・近隣対応・確認ポイント
足場解体の流れを依頼から搬出完了まで発注者目線で解説。解体前に確認すべき完了検査との順序、外壁・植栽の損傷や近隣トラブルの予防策、解体だけを別会社に依頼できるか、費用の考え方、解体前チェックリストまで足場施工会社がまとめました。
塗装や防水の工程が終わりに近づくと、「足場解体をいつ頼むか」「解体の日に何を確認すればよいか」を決める場面がきます。
足場解体はタイミングを誤ると再架設の費用が丸ごと発生し、段取りを誤ると外壁や近隣のトラブルにつながる工程です。
本記事では、足場解体の流れを依頼から搬出完了まで整理し、起きやすいトラブルと予防策、解体だけを別会社に依頼できるか、費用の考え方、解体前チェックリストまでを、年間600件の足場施工を手がけるイースタイルが発注者目線で解説します。
対象は工務店・元請け・塗装業者など、足場を発注する側の実務者です。
足場解体の流れ|依頼から搬出完了まで
足場解体は「解体の依頼 → 日程調整 → 近隣連絡 → 解体作業 → 搬出 → 原状確認」の順に進みます。
発注者が動くのは前半の依頼・日程・近隣連絡と、最後の原状確認です。

解体前に発注者が確認すべきこと(工事完了検査との順序)
解体依頼の前に必ず済ませるべきことは、足場を使うすべての工程の完了と、その検査です。
塗装なら仕上げ塗りの乾燥と塗り残しの確認、防水なら端末処理、板金なら納まりの確認までが終わり、手直しが残っていない状態で解体を依頼します。
解体後に手直しが見つかると、高所の作業は足場を組み直すしかなく、組立て・解体の費用が再度発生します。
これが足場解体で最も高くつく失敗です。
施主検査がある工事では、立会い検査を解体前に設定し、指摘事項の手直しまで終えてから解体日を確定してください。
受注側の実感として、解体の連絡は「工程がすべて終わってから」ではなく「手直しまで終わる日の見込みが立った時点」で入れていただくと、解体日を確保しやすくなります。
連絡が遅れると解体日が後ろにずれ、設置期間が延びる原因になります。
解体作業の手順と所要日数
解体当日は、組立てと逆の順序で上から下へ進みます。
- 養生・シートの撤去:メッシュシートを外し、風で飛ばないよう畳んで下ろす
- 上段から部材を外す:踏板・手すり・筋交・支柱の順に、最上段から1層ずつ解体する
- 部材の荷下ろし:手渡しや荷揚げ機で地上へ下ろす(労働安全衛生規則第564条は、材料・器具の上げ下ろしにつり綱・つり袋等を使わせることを定めています)
- 壁つなぎの撤去:建物と足場を固定していた壁つなぎを外し、取付け跡を処理する
- 小運搬・積込み・搬出:敷地内で部材をトラックまで運び、積み込んで搬出する
- 原状確認:地面の養生材・置き忘れ部材の回収、外構・植栽・隣地側の確認
所要日数は、足場の規模(架面積)、搬出動線の長さ、荷揚げ機の有無、作業人数、天候で変わるため、一律には言えません。
一般に解体は組立てより短い時間で済む傾向がありますが、具体的な日数は見積もり時に現場条件を伝えて確認してください。
イースタイルの規模別の実測目安は、取材のうえで追記します。
法令上、つり足場・張り出し足場、または高さ5m以上の構造の足場の解体には「足場の組立て等作業主任者」の選任が必要で(労働安全衛生法施行令第6条第15号)、作業主任者が作業方法の決定と直接指揮、墜落制止用器具の使用状況の監視を行います(労働安全衛生規則第566条)。
作業者には特別教育が必要です(同第36条第39号)。
また第564条により、作業区域への関係者以外の立入禁止と悪天候時の作業中止が求められます。
組立てから解体までの全体工程と立会いのタイミングは、次の記事で解説しています。
足場解体で起きやすいトラブルと予防策
解体で起きやすいトラブルは、おおむね「損傷」「近隣」「日程」の3種類に分かれます。
いずれも予防策は段取りの段階にあります。

外壁・植栽の損傷、近隣への配慮
- 仕上がった外壁の傷:解体時に部材が外壁に当たると新しい塗膜に傷がつきます。予防策は、部材を投げ下ろさず手渡し・荷揚げ機で下ろすことと、外壁に接する面の養生です
- 壁つなぎの跡:壁つなぎを外した跡の補修を「誰が・いつ」行うか、塗装工程と解体のどちらに含めるかを事前に決めておきます。決めていないと解体後に未補修の穴が残ります
- 雨樋・室外機・外構・植栽:部材の落下や小運搬の動線で傷みやすい箇所です。解体前に動線上の障害物を確認し、養生または一時移動を手配します
- 隣地借用の返却:隣地を借りて組んだ場合は、解体後に原状回復して返却し、挨拶を入れます
- 近隣への配慮:解体は金属音とトラックの出入りが集中します。作業日と時間帯を事前に伝え、前面道路にトラックを停めて作業する場合は道路使用許可(道路交通法第77条)の要否を施工会社と確認します
解体日程の調整遅れ(雨天・工程ずれ)
- 工程ずれ:後工程の遅れで解体日がずれると設置期間が延び、延長費用や次の現場との兼ね合いが生じます。解体日は予備日まで押さえておきます
- 悪天候:強風・大雨・大雪の日は、労働安全衛生規則第564条により解体作業を行えません。台風シーズンは特に予備日が重要です
- 部分解体後の点検:一部だけ先に解体する場合、残った足場は一部解体後の点検対象になります(同第567条)。残る部分の安全が確保される範囲かを施工会社に確認してください
解体だけの依頼はできるか|組んだ業者と別会社に頼む場合
結論から言うと、足場は組んだ会社が解体するのが原則です。
理由は3つあります。

- 部材の所有:足場部材は施工会社の資産またはレンタル材で、解体後の引き渡し先・返却先が決まっています。別会社が解体すると部材の管理が宙に浮きます
- 構造の把握:壁つなぎ・補強・控えの位置は組んだ会社が把握しています。構造を知らない足場は、外す順序を誤ると倒壊や部材落下の危険があります
- 責任の分界:外壁や外構の損傷が見つかった場合、設置時のものか解体時のものかの切り分けが困難になります
とはいえ、設置した会社と連絡が取れない、日程が合わないといった事情で、解体だけを別会社に依頼せざるを得ないケースは実際にあります。
その場合、受注側は少なくとも次の項目を確認してから着手します。
- 部材の所有者と、解体後の引き渡し先・返却先
- 設置時の図面または写真(壁つなぎ・補強・控えの位置)
- 設置時の近隣連絡と道路使用許可などの届出状況
- 着手前の外壁・外構の現状確認(損傷の有無を双方で記録)
- 設置した会社から解体の承諾が得られているか
これらが揃わない場合は、現地調査で構造を確認したうえで可否を判断することになります。
イースタイルが他社設置の足場の解体を受ける際の対応方針は、取材のうえで追記します。
「解体用足場」「解体足場」は別の意味
「解体足場」「解体用足場」という言葉は、多くの場合、建物を解体する工事のために組む養生足場を指します。
単管足場に防音・防じんのパネルやシートを張り、粉じんと騒音の飛散を抑える仮設です。
本記事で扱う「足場の解体(撤去)」とは別物なので、問い合わせの際はどちらの意味かを明確にしてください。
物件の条件を伝えるだけで、最適な足場種類と概算費用をお出しします。
関東全域・4拠点体制のイースタイルに無料でご相談ください。
足場解体の費用の考え方(組立てとの一括見積もりが基本)
足場の見積もりは、組立て・設置期間・解体を一式とする形が基本です。
解体費用が別立てになることは通常なく、「解体費はいくらか」と単独で比較する場面はあまりありません。
一方、次のケースでは追加費用や別見積もりが発生します。
- 設置期間の延長:後工程の遅れで解体日がずれ、標準期間を超えた場合
- 再架設・部分解体後の再組立て:解体後の手直しや工程の都合で足場を組み直す場合(組立て・解体の費用が再度発生)
- 解体のみの単独依頼:他社設置の足場は、構造確認の現地調査を含めた別見積もりになる
- 搬出条件:夜間・休日の作業指定、道路使用許可の取得、長い小運搬など
費用を抑える最大のポイントは、解体を安くすることではなく、再架設と延長を発生させない段取りです。
解体前チェックリスト(発注者向け)
解体依頼の前に、次の項目を確認してください。
- 足場を使う全工程(塗装・防水・板金・シーリングなど)が完了し、検査と手直しを終えている(施主検査がある場合は指摘対応まで)
- 壁つなぎの跡の補修を誰がいつ行うか決まっている
- 解体日と予備日を確保し、施工会社と共有している
- 近隣へ解体日・時間帯・車両の出入りを連絡した
- トラックの駐車位置と、道路使用許可の要否を確認した
- 動線上の雨樋・室外機・外構・植栽の養生または移動を手配した(隣地借用があれば返却の段取りも)
- 解体後の原状確認に立ち会う担当者と確認項目(外壁・外構・地面・置き忘れ部材)を決めている
ここまで埋まっていれば、解体当日に発注者がやることはほぼ「原状確認の立会い」だけです。
現場に当てはめると:発注前の判断例
たとえば(架空の検討例)、塗装は終わったが、雨樋の補修と壁つなぎ跡の仕上がり確認が残っている場合を考えます。
担当者が最初に確かめたいのは「解体してから再び足場が必要になる作業はないか」です。
各職種に作業完了を確認し、是正箇所と写真をまとめて解体日を確定することから始めましょう。
解体前の立会いでは、地上から見えにくい雨樋や上階の仕上がりも確認します。
足場を使う職種に「残作業なし」と答えてもらい、是正があるなら写真と期限を共有してから解体日を決めます。
搬出経路に植栽や車両がある場合は、解体当日の養生と駐車位置も確認します。
解体後は外壁だけでなく、敷地と隣地の原状も一緒に見てください。
現場監督が確認した写真は、解体業者にも共有すると壁つなぎの位置や注意箇所が伝わります。
作業後には搬出した部材の置き忘れや敷地の傷を確認し、問題があればその場で双方が記録します。
まとめ
足場解体は「依頼 → 日程調整 → 近隣連絡 → 解体作業 → 搬出 → 原状確認」の順に進み、発注者が動くのは前半と最後の原状確認です。
最も避けたいのは、解体後に手直しが見つかって足場を組み直すことです。
再架設の費用が丸ごとかかるため、足場を使う全工程の完了と検査を解体前に終えることが何より優先されます。
解体作業そのものは施工会社の領分で、高さ5m以上の足場の解体には作業主任者の選任(労働安全衛生法施行令第6条第15号)が必要です。
また、悪天候時は作業できない(労働安全衛生規則第564条)ため、解体日は予備日とあわせて押さえます。
トラブルは「損傷・近隣・日程」の3種類に分かれ、いずれも段取りで予防できます。
- 部材は手渡し・荷揚げ機で下ろし、外壁に接する面を養生する
- 壁つなぎ跡の補修を、誰がいつ行うか決めておく
- 解体日と予備日を確保し、近隣に日時と車両の出入りを伝える
解体は組んだ会社が行うのが原則で、費用も組立てとの一括見積もりが基本です。
解体の単価を下げることより、再架設と延長を発生させない段取りを組むことが、結果として総額を抑えます。
解体日を決める前に、残作業と是正箇所の有無を各職種に確認してください。
最後の原状確認までが解体の段取りです。
よくある質問(FAQ)
足場の解体には何日かかりますか?
足場の規模(架面積)、搬出動線の長さ、荷揚げ機の有無、作業人数、天候で変わるため、一律には言えません。
一般に解体は組立てより短い時間で済む傾向がありますが、強風・大雨・大雪の日は法令上作業できないため、解体日とあわせて予備日を確保しておくのが確実です。
具体的な日数は、建物の階数・外周・搬入路の条件を伝えて見積もり時に確認してください。
足場の解体だけを別の業者に頼めますか?
原則として、足場は組んだ会社が解体します。
部材が施工会社の資産またはレンタル材であること、壁つなぎや補強の位置を組んだ会社しか把握していないこと、損傷時の責任の切り分けが難しくなることが理由です。
設置した会社と連絡が取れないなどの事情がある場合は、部材の所有者と返却先、設置時の図面や写真、届出状況、着手前の現状確認が揃えば、現地調査のうえで別会社が対応できる場合があります。
足場解体の前に発注者がやるべきことはありますか?
あります。
最も重要なのは、足場を使うすべての工程の完了検査と手直しを解体前に終えることです。
解体後に手直しが見つかると足場の組み直しが必要になり、費用が再度発生します。
あわせて、壁つなぎ跡の補修の取り決め、解体日と予備日の確保、近隣への連絡、道路使用許可の確認、動線上の外構・植栽の養生手配を済ませておくと、解体当日は原状確認の立会いだけで済みます。
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イースタイル|代表:三浦紘久/設立2018年1月/建設業許可 東京都知事 許可(般-4)第156566 鳶・土工業/年間施工件数600件
